【2026年サッカー男子W杯】 イングランド、準決勝でアルゼンチンに逆転負け

青色ユニホームのメッシと白色ユニホームのケインが互いに手を伸ばして相手の体に触れながら小さく口を開いている。背後にはカメラマンがいる

画像提供, Reuters

画像説明, 試合終了後に言葉を交わすアルゼンチンのリオネル・メッシ(左)とイングランドのハリー・ケインの両キャプテン(15日、米アトランタ・スタジアム)
Published
この記事は約 6 分で読めます

フィル・マクナルティー・サッカー担当主任記者

サッカー男子ワールドカップ(W杯)北中米大会は15日(日本時間16日)、アメリカのアトランタ・スタジアムで準決勝があり、イングランドがアルゼンチンに1-2で敗れた。前大会優勝のアルゼンチンは、後半に入って先制点を許したものの、終盤に2得点を挙げて劇的な逆転勝利を収め、スペインとの決勝へと進んだ。イングランドはW杯制覇の夢がまたしても砕かれ、悲しみに暮れた。

激しい攻防が繰り広げられるなか、トーマス・トゥヘル監督率いるイングランドは後半10分、FWアンソニー・ゴードンが先制ゴールを決めた。優勝した1966年以来となる男子W杯決勝進出へと、イングランドは近づいたように見えた。

だが、アルゼンチンはここから奮起し、試合をひっくり返した。残り時間5分、MFエンツォ・フェルナンデスが目覚ましい同点ゴールを奪う。さらにアディショナルタイムに入ると、FWリオネル・メッシの右足のクロスにFWラウタロ・マルティネスが頭で合わせ、決勝点を挙げた。

栄光を待ち続けるイングランドの道のりは、なおも続く。今大会はまだ、フランスとの3位決定戦が18日(日本時間19日)にある。一方、アルゼンチンは19日(同20日)の決勝で2連覇を目指す。

スタジアムの内外に漂う熱気は、前半だけでファウルが19回に上るという激しい展開を反映していた。アメリカ人の審判イスマイル・エルファスさんは、試合を懸命にコントロールした。

先に得点に最も近づいたのはアルゼンチンだった。フェルナンデスが放ったロングシュートは、枠をわずかに外れた。前半は0-0のまま終了。そしてイングランドが均衡を破る。MFモーガン・ロジャースが右サイドから上げた完璧なクロスを、ゴードンがファーポストで右足で合わせ、ゴールを決めた。

失点を許したアルゼンチンはがぜん奮い立つ。MFニコ・ゴンサレスがゴール前でヘディングでゴールを狙うが、イングランドのGKジョーダン・ピックフォードが見事な反射神経で防いだ。

黄色ユニホームのピックフォードがゴールライン上でボールを手で止めようとしている

画像提供, Getty Images

画像説明, イングランドのGKピックフォードはたびたび好セーブを見せた

その後もイングランドは重圧にさらされ、守る時間が続く。アルゼンチンはMFアレクシス・マクアリスターがヘディングシュートを放つも、ゴールポストにはね返される。だが残り5分、フェルナンデスが放った20メートル超のミドルシュートは、ここまで鉄壁だったGKピックフォードの伸ばした手の先を通り抜け、同点ゴールとなった。

イングランドのトゥヘル監督は、ゴール前中央部に4人のディフェンダー(DF)を配し、ペナルティーエリアを守る布陣を敷いた。しかし、アルゼンチンの勢いは止められない。アディショナルタイム2分、マクアリスターが再びゴールポストをたたくシュートを放つと、イングランドの守備がついに崩れる。転がったボールを回収したアルゼンチンは、マルティネスのゴールで、白熱した準決勝に決着をつけた。

青色ユニホームのフェルナンデスが右足でボールを蹴っている。奥にはイングランドのディフェンダーやゴールキーパーらがいる

画像提供, Reuters

画像説明, アルゼンチンのフェルナンデス(手前)が試合終盤に同点ゴールを決めた

イングランド分析:トゥヘル監督の慎重さが裏目に

イングランドはこれまでと同じく、勝利を目前にして突如、慎重になり過ぎた。近年では、ギャレス・サウスゲイト監督時代もそうだった。トゥヘル監督は、その責任の一端を負う必要がある。

イングランドはそれまで、比較的優位に立っていた(W杯準決勝でのアルゼンチンとの対戦という雰囲気の中では「比較的」でしかないが)。その状況で、トゥヘル監督とチームは相手に主導権を譲り、壊滅的な結果を招いた。

ゴードンのゴールで夢は目前に迫っていた。しかしそこで、イングランドは引いてしまった。結果、ディフェンダー過剰の状態に陥った。残り18分で、得点者ゴードンに代えてエズリ・コンサを投入したのもそうだった。その後、巨漢ダン・バーンもピッチに送り込んだが、この戦略は失敗した。

イングランドは相手に包囲される形で、自陣ペナルティーエリアにくぎ付けとなった。トゥヘル監督はあまりに早く、5バックに移行した。それが自分たちに重圧を招き、やがて自壊した。

イングランドは近年さまざまな失望を味わってきたが、今回の敗戦は特につらいものかもしれない。本当にあと一歩というところまで迫ったのだ。しかし待っていたのは、おなじみの苦い結末だった。

メッシ、再びアルゼンチンの原動力に

青色ユニホームのメッシがボールをドリブルしている。近くでは白色ユニホームのイングランドの選手が走っている

画像提供, Reuters

画像説明, ボールを運ぶアルゼンチンのメッシ(中)

メッシはこの準決勝、終盤まで真の影響力を発揮しなかった。たが、いったん発揮すると、またしてもアルゼンチンの原動力となった。

今大会、負け知らずのチームで活躍を続けるメッシは、後半残り5分にフェルナンデスの強烈な同点ゴールを演出。アディショナルタイムには、右足のクロスでマルティネスの決勝ゴールをアシストし、イングランドを絶望の淵へと突き落とした。

アルゼンチンは、前半で目立った敵意に満ちたプレーをやめたことで、調子を上げた。終盤、殻に閉じこもるように守備を固めたイングランドを、怒濤(どとう)の攻めで完全に圧倒した。

メッシは39歳で2回目のW杯制覇のチャンスをつかんだ。決勝では、準決勝でフランスに完勝した現欧州王者のスペイン、そしてメッシの王座を狙うスペインの若き挑戦者ラミン・ヤマルと対決する。